七月三十一日(日)

佳奈美と大学説明会に行くために、朝十時過ぎに最寄り駅へ。昨日あんなメールを交換したからか、この日は、めずらしく孝雄が車で送ってくれた。

が、しかし……昇りエスカレーターの上から振り返ると、孝雄が一生懸命、携帯電話をいじっている。怪しいと思ったので、普段はしないのだが、〈説明会が終わったので今から帰ります〉と、後でメールを送ってみた。

〈仕事で出かけているため、迎えに行けません〉と返信があった。

夜、孝雄がお風呂に入っている間に、メールの送信履歴を確認したら……。

〈二時頃、横浜に出てこれるか? 短い時間でもよかったら会って〉

あの時怪しいと思ったのが的中していた。そして、揺るぎない証拠として、〈今日は会えて嬉しかった♥たーと一緒の時間が一番幸せ♥〉という、心菜さんからのメールも発見。

孝雄は夕方、きちんといつものようにスーツ姿で帰ってきた。いかにも仕事に出かけてきたかのようだったが、その実、心菜さんとデートをしていたのだ。ここで、ふと思い当たり、着信履歴を少し遡って見てみると……やっぱりあった! 心菜さんからのこんなメールが。

〈たー♥と、また東北に行けるなんて楽しみ♥〉

孝雄は明日から一泊二日で、東日本大震災の被災地へボランティアに行くことになっていた。「役員として会社の代表で行くから出張扱いだ」と説明していたけれど……なんとなく怪しいと思っていて、これも的中。

今回は二回目で、一回目に行ったのは、義母が亡くなる直前のゴールデンウィーク中だった。心菜さんのメールに〈また〉とあるので、前回も一緒だったことがわかる。事実として、着信履歴をさらにずっと、ずーっと、五月までスクロールしたら、こんなメールが残っていた。

〈たー、もうこっちには着いた? 心菜は、お風呂に入ったとこもう少ししたら先に寝てるね♥アハハ♥気をつけて♥〉

(やっぱり、そうだったんや……)