疲れているカオルが、シャワーを浴びてベッドに横になった。真由子はカオルにお願いした。「カオルくん、お願い。分かってると思うけど、私流星くんに恋してるの。だから横に寝てもお友達モードでね……」

明るく真由子が伝えると、

「もちろん、心配しないで。俺疲れてるからすぐ爆睡するよ」と言うなりカオルはすぐ寝てしまった。寝返りはおろか、寝息も聞こえないほど静かでお行儀がよかったので、かえって真由子がびっくりした。

(何だか凄く躾された大型のハスキー犬みたいだな、カオルくんは……)

由緒正しいお坊ちゃんであるカオルは、寝ている姿までイケメンだった。翌朝、爽やかに目覚めた真由子とカオルは、ホテルのモーニングを一緒に食べ、帰る方向が同じなので、横浜まで一緒に行ってそこで別れた。

カオルが来て泊まってくれ、帰りも途中まで一緒だったので、真由子は寂しい思いをせずに済んだ。還暦間近になる真由子の誕生日祝いは、真由子の人生の中で最高のバースデーになったのは間違いない。

真由子は、掲示板に長く書き込みを続けたり、流星と目立つようにデートしたがったり、SNSなどで言うところの承認欲求の強めな女性だった。

美人だと若い頃から言われてきた真由子だったが、結婚して以来は女性らしく華やかに装うことや、男性に優しくエスコートして貰うなんて、まったくないままいつのまにか50代後半の年齢になっていたのだ。

だが、今年の春にパラダイスアロマで流星と出会ってから、次々と展開した恋物語は、奇跡であり、不思議な物語と言えるかもしれない。

もちろんそれは、真由子自身が、流星との時間の為に、お金を支払い演出していたとも言える。それでも真由子がそれまでの人生で味わったことのないトキメキや楽しさを流星やカオルと過ごした時間に感じていたのは、間違いない真実だった。

次回更新は7月12日(土)、18時の予定です。

 

👉『東京フェイクLove♡』連載記事一覧はこちら

【イチオシ記事】「浮気とかしないの?」「試してみますか?」冗談で言ったつもりだったがその後オトコとオンナになった

【注目記事】そっと乱れた毛布を直し、「午後4時38分に亡くなられました」と家族に低い声で告げ、一歩下がって手を合わせ頭を垂たれた