Pくん 2011年1月6日 クッキー3才10か月

ある日の午後遅く、例のとおり公園で遊んでいると、「女の子ですね」と言って、近づいてこられた飼い主さんとワンちゃん。

ワンちゃんは、ベージュに近い薄茶の美しい被毛を全身にまとった優雅な姿。ポメラニアンらしいキュートな顔だけれど、普通のポメラニアンの倍ぐらいはありそうな大型。

「女の子にはいいのですけど、男の子に近づいたら大騒ぎ。耳がおかしくなるくらい吠え立てて大変」

「フェロモンか何かでわかるんでしょうね」

「自分が偉いんだ!って騒ぐんでしょう」

Pくんは、まったりと寝そべり、後ろ足を後ろに伸ばしたまま匍匐前進をしてみせたり、と魅力的。イケメンくんというより、全身ハンサムくん。

クッキーが、へっぴり腰で「ワンワン! ワンワンワン!」とフェイントをかけても、全く動じることなく、悠々泰然。

と、突然、彼が飛び上がって、甲高い声でわめき始めました。見ると、暮れ始めた15~20mくらい先に、ワンちゃんを連れた少女の姿。

「あー! 男の子!」

飼い主さんは、興奮して吠えまくるPくんを引っ張りながら、慌てて離れていかれました。

近づいてきたワンちゃんは、クッキーと同じぐらいの大きさで、5か月の男の子とのこと。Pくんはすごい!!

人間には到底識別できない距離や明るさなのに、瞬時に男の子だってわかったのですね。

「パピーだって、男の子は男の子! 許さなーい!」ということなんでしょう。

動物の能力はすごい!! 犬っていうのは、あまりにも身近な存在で、野生とは無縁かのように錯覚しがちだけれど、人間には計り知れない、野で生きる力だって持っている存在なんだ、と改めて気づかされました。

そこで思い出したのが、近くの商店街の看板犬のトイプードルくん。そのワンちゃんは、いつもガラスドアの向こうに座って、居眠りしたり外を眺めたりしています。

で、クッキーに気づくと、しっぽをパタパタと振り、立ち上がってガラスをガリガリと引っ掻いて、飛び出してきたい様子。

Pくんのことを考えると、看板犬くんは、ガラスドアの向こうにいてもクッキーを女の子とわかって、“トモダチになりたーい”とアピールしているのかも。

クッキーは、全く無関心だけれど。