アルゼンチンタンゴとの出会いと、人と人とのコミュニケーション
―2021年11月11日
ある時、「田渕さんはスーッとアメリカ人の中に入っていけるのね」と言われました。
そんなことはないのですけどね! アメリカの大学で勉強したこともないので、長く現地に住んでいても、子育てをしながらESL(英語を第二外国語とする人のための英語教室)へ通っても、急激な進歩は望めません。
私の実力はIntermediate High(中級の上)かAdvanced Low(上級の下)といったところでしょうか。でも、これでも様々な国からアメリカに渡ってきた人達と一緒に学ぶ楽しさは十分味わえました。
実は、アメリカで夫と一緒にダンスを習いたいという希望を持っていました。盆踊りしか踊ったことのない保夫さんを何とか誘って、コミュニティーのダンスクラスに入りました。
日本の建築が大好きな建築家の今は亡きカズダン先生に出会って、バイセンテクラブという地域の名門クラブに入会し、社交のためのダンスという貴重な経験をしました。
そのクラブの一員の勧めで、次第にアルゼンチンタンゴに移行することになりました。
アルゼンチンタンゴは特にボディーランゲージ(体で表現する言葉)と言われる踊りなので、言葉なしでも十分です。踊っている間は言葉なんていらないのです。
サンフランシスコ湾岸地区はブレイン・マグネットと言われるくらい、優秀な人々の集まる地域なので、文化も人との交流も十分楽しめました。私の知っているだけでも、
ドイツ、オランダ、デンマーク、スコットランド、ロシア、イタリア、フランス、ギリシャ、イラン、インドネシア、インド、台湾、中国、フィリピン、ベトナム、ブラジル、メキシコ、アルゼンチン、日本、そしてアメリカなどで、英語を第二母国語とする民族であふれています。
こんな所にも、「言葉よりも身体で表現するタンゴ」が盛んになる下地があるのでしょうか。タンゴを通して一段と交際範囲が広がり、異なる文化や人々に触れることができるのは、何とも楽しいものです。
親しいダンス仲間達と日常生活の中でタンゴを楽しめるのは、サンフランシスコ湾岸地区に住む者の特権と言えそうです。
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