【前回記事を読む】「…もしお前が死んだら、どうすんだよ」「その時は呪っていいよ」「呪うって…」ログは呆れ顔で私を見る。そして二人はともに…

第二章 旅立ちと仲間

当たり前のこと

ティーナとログは、慌てて猫に追いつこうと全力疾走をした。しかし人間の全速力が猫の全速力にかなうわけもなく、猫がストップした時にはお互いに倒れそうになり、足が生まれたての小鹿のようにプルプルと震えていた。

「にゃぁ、にゃー」

今にも倒れそうになっているログと、もうすでに倒れているティーナに猫は「早く来い」と言わんばかりににゃあにゃあと鳴く。

「ご、ごめんね……ちょっと休憩……」

「にゃー!」

ティーナがそう言うと猫は怒ったように鳴く。怒らせたら嫌だなぁ、と思って疲れ切った体を起こして猫についていった。

「なんなのぉ?」

ティーナが発した声は、息があがって裏返っていた。

「わりぃ、ティーナ……ちょっと、肩かしてくれ」

ログは貸してくれとは言ったものの、無許可でティーナの肩に寄りかかった。

「限界?」

「あ゛ぁ……」

ティーナはいつもだったら「シャキッとしろ」と言っていたところだが、こればっかりは仕方がないと、おそらく自分より重いであろうログに肩を貸しながら進んでいった。数分歩くと、明らかに人為的に作られた川と橋があり、橋を渡った先には巨大な建造物があった。猫はそこで立ち止まり、ティーナとログを待った。

「待ってぇ……」

二人はようやく猫に追いついた。二人はフルマラソンを休みなしで走り切ったあとのような状態の震える足で猫に近づいた。

「おい、ちび助。なんなんだよ、俺たちこんな走らせて」

「シャーッ!」

憤慨した様子の猫は、ログに思いきり噛みついた。

「いってててて!」

「ちび助とか言うからだよ」