ティーナはずっとナギサに依存していた。自分にとってナギサは母親で、ナギサ以外の依存先を知らなかった。
どちらかが壊れるか、死ぬか。別れが来ることなんてわかっていたのに、そんなこと考えたくない。といつも頭の中から消し去っていた。
そのせいで、もう自分には孤独が訪れない。そう勘違いしていた。
だからナギサが壊れても自分は、ずっとここを離れなかった。
この数か月の間で、ナギサの言動からティーナは、「ナギサは自分が壊れることがわかっていた」と知った。そうじゃなかったら、生きて、なんて言わない。
それを知っても、「だからなんなの」としか思わない。
壊れることを知っていたなら逃げればよかったじゃないか。
なんであーしを一人にしたの?
ねぇ、ナギサ……
「あ、゛ああぁああ、ゔあああああああああああぁああ!!」
抑えきれなくなった感情が、涙となって駅に響いた。
「起きてよおおおナギサあああああ!!!!!! 」
しんどいよ。苦しいよ。なんで置いていったの? 行かないでよ。そばにいてよ!
泣いて、泣いて、泣いて。
体の機能として涙が止まったのは数時間経ったあとだった。
「無理だよ、一人ぼっちなんて……」
『生きて』
(……嫌だ。まだ、死にたくない)
そうだ、あーしはナギサに言われたんだ。もう、生きる方法なんて教わった。
死にたくないなら、生きなきゃいけない。
「帰らなきゃ……生きなきゃ……」