「どうした?」三人は弧を描いて盛江を迎えた。
「もう、わけが分かんねえよ!」 盛江は脚を止め、前かがみになりしばらく息をあえがせていた。やがて音を立てて唾を飲み、
「いや、驚いた。俺、自分の目が信じられない」
「何を見たんだよ」早坂が急かす。
「道が無いんだ」
「道が無い?」
「いや、あるにはあるんだ」
「は?」
「道がこっちからずーっと伸びているんだけど、途中でぷっつり切れてるんだよ」
「道が崩れているのか?」
「違う。崩れてるんじゃなくて、切れてるんだ。切れてる先は、まるで今までずっとそうだったみたいに、草がボーボー生えてる」
三人は首を傾げた。
「みんなが理解に苦しむのは分かる」盛江は一人一人の顔を見て言った。「とにかく一緒に行って自分の目で確かめてほしい。ここからそんなに遠くないから」
三人はさっそく盛江の後に従い現場に向かった。林は舗装された道路を歩きながら訝しく思った。この道は昨日キャンプ場入りする時に通ったし、去年も一昨年も通った。道が切れているところなんてどこにもない。きっと盛江君は勘違いしているんだ。間違えて脇道に入り、私道のおしまいでも見たに違いない。
ところが、二分ばかり歩いたところで、道の先がブッツリ切れているのが見えた。四人は道の終点まで駆けて行った。
「うそ! 何で!」
林は唖然とした。