だからどうしたという気分、私は悟った、間違いなく、
神の側にも立たず、神の敵にもならず、
どっちつかずの馬鹿どもだと
この本当の人生を生きたことのない馬鹿どもは、
裸でそこいらの、
虻や蜂に刺されまくっていた
お陰で奴らの顔は赤く腫れ上がり、
それが涙と混じって足下に垂れ、
それをまた虫ケラが吸っていたそれから先を見ると、
川のほとりに群衆が見えたから、私が言った、「先生、教えてください、
あれは何者ですか? ぼんやり見えるには、
皆、今にも川を渡ってしまいそうですが、 それはどういうきまりによるものですか?」
ウェルギリウスが私に言うには、「そうしたことは
私たちが三途の川(アケロンの川)の岸辺で、
足を止めたときに、自ずとわかる」
そう窘められ恥ずかしさのあまり目を伏せ、
私の言うことが先生の気に障らないかと思い、川に着くまで黙っていた
するとそこで、川から舟を漕いで老人が一人、
白髪をなびかせながら近づいてきて、いきなり怒鳴った、
「貴様ら、悪党共の亡霊に災いあれ!天を仰げるなどと、夢々思うな!
わしは貴様らを永劫の闇の中、酷熱氷寒の岸辺へ
連行する為に来た、徘徊老人じゃないよところでそこに立ってるおどれ、生きとるな、こにおる死んだ奴らから離れとれや」
しかし、私が離れようとしないのを見て言った、
「他の道、他の港を通って浜辺に来るがいい、ここを通すわけにはいかぬ、お前にはもっと軽やかな舟の方がお似合いじゃ」
私の先達が彼を諭す、 「カロン、ややっケロン、むむっコロン……もう何でもいいわい、怒るではない!全知全能の賢きあたりの、これは思召しなのじゃよ
それ以上聞くな!」
泥色の沼の渡し守の髭もじゃの頬は、
それを聞いた途端ぶんむくれたが、
目の縁は燃える闘魂のようだった
だがカロンコロンの残酷な言葉を聞いた
裸で刺されまくりの亡者共は、
顔色を変えて歯噛みした、キィーー、そして、神や、自分の身内や人類や、 自分の故郷や、場や時や、先祖や、産みの親に至るまで口汚く罵った、キィーー
それから皆、大声をあげて泣きながら、