そんな業界にあって、赤坂事務所はそうしたことからくるトラブルがほとんど無い。神野慶太はその赤坂事務所のマネージャーである。

神野の事務所社員としての肩書は営業部の部長だが、会社と相談して自らのポジションをチーフマネージャーとしていた。それは本来タレントには担当マネージャーが必要で、現場には行かないとしても、その声優の全体をみていくマネージャーがいなければいけない、そう考えたからに他ならない。

一人で全員の担当マネージャーであろうと努める、それが神野慶太というマネージャーなのだが、それは言うほど簡単ではない。二〇〇人を超えるタレント全員の担当であり、営業のチーフでもあるというのは精神的にも重圧だが、単純に全員と定期的に話しながら自らの営業担当としての仕事をこなすには時間が足りない。

だがこの神野慶太の存在が、赤坂事務所が安定して業績を上げる大きな要素になっている。本書は神野マネージャーが様々な声優の相談に応える形で、実際に起こっている声優業界の問題を掘り下げ、その解決に努めたものである。

 

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