次の日はほとんど呆(ほう)けていて、授業にならなかった。授業終わりの学園祭の片付けもタダ惰性でやっているみたい。終わってしまい気持ちが入らないんだよね。
下校時にようやく甦(よみがえ)ってきたという感覚がした。それでもカラオケに行く元気はあるのだから若さだわ! さあ出発。
向かった先はこの辺りでは一番大きなカラオケ店。ニーズに併せて大小部屋があり、小さい部屋でも結構広い造りになっている。
乾杯の後、祭りの出来不出来を話し、来年に託すべきことなども、書き記した。
その後はカラオケでみんな盛り上がるのだった。
第二章 学園の中で宝探し?
皆が歌い疲れた頃に、大和が変な話をし出した。
「戦国の武将作りしていた時、手伝ってもらっていた先輩が、話してくれたことなんだが、この学園には九鬼(くき)水軍の宝が、隠されているらしい」
思わぬ話の流れに、私を始めみんなが興味を示した。柚子は直ぐに、
「何それ、面白そう。詳しく話して」
「先輩が俺と同じ、歴史好きアニメ好きで盛り上がって話しているうちに、学園の話になったんだ。
先輩の家は曾祖母のお母さんの代から、この学園に通っていたんだと。つまり、学園ができた時、高祖母が富貴家のお嬢様から元九鬼水軍だった先祖からの物を学園に秘して納めたという話を聞いたということらしい。昔は今ほど女子が活発ではなかったものの多感な時期、それなりに興味が湧く物には探究心が抑えきれなかったんだろうね。女学校のお嬢様といえども探し回ったらしい。
それでどうも怪しいなと思われるのが食堂なんだと。あそこは元々給湯室があって近年食事がとれる学食に変わるんだが、改装にあたっては手間が掛かるだろうに、給湯室をそのままの形で残し、厨房に変え放射線状に広げたらしい。うちの学食変わった形してるよな。なぜあんな形に給湯室を残さねばならなかったのか、何か隠してあるのか。わからないことだらけだけど、まあこんなところだ」
大和はみんなの注目を集めて、話し出した割には、コレといった決定的な事柄は示せないで話は終わった。だが、陽が突然、この話を受けて話し出した。
「それは孫の九鬼久隆の娘が、三河の岩津松平家に嫁ぐ際、持って行ったらしい。その頃九鬼家では、持参金と共に、秘していた家宝を持たせたというわけだ。これはごく限られた人だけが、知り得たことであったらしい。その後、岩津家は断絶してしまうのだが、折良く、娘が海運業を営んでいる富貴家へ嫁ぐことになり、その折九鬼からの宝を持ってきたらしい。学園創設者は、それを建物を作る際、学園のどこかに隠したらしいと思われるの」
少し上気した面持ちで、陽は話し終える。
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