【前回の記事を読む】ライバル登場! 楽しみにしていた文化祭に乗り込んできたライバル校の生徒たち。電話では強気にはねのけたが...
第一章 学園祭は決戦の場
「じゃ眼鏡じゃない、柘植くんとか言いましたよね確か。行きましょう大まかに説明します」
「ネットで名前検索してくれましたか。嬉しいです」
「へっ、嬉しいとか。キモイんですけど」
「そんな、僕は松本さんと個人的な話ができると思うと嬉しいですけど」
「個人的とかじゃないでしょ。なにとち狂ったこと言うのよ。もうさっさと説明します」
「松本さんには興味が湧きますね。僕は今までこんな態度を取られたことがないのですよ」
あの眼鏡はなんなの気持ち悪い、王様きどりで。私的には寄るな触るな近づくなだよ。柚子は貴檣高校ご一行様を最初のところで留め置き説明しまくる。あとは各自見て下さいと言い残すと、脱兎のごとくそこを離れた。
楽しまなくっちゃ! 各棟に分かれて作っていたので全部見られる本番は盛り上がる。さすが私たちだ。ホントよく頑張ったよ!
終わりが近づき片付けも少しずつ始めていると、
「蓮。着替えもしないで何してるの」
蓮が逃げまどっている。私と陽は化粧をして見事な女戦闘員に問いただす。
「クソ! みんな颯太のせいだ。女子に追い掛け回されている。この格好で一緒に写真撮りたいと言われて!」
「人気だねぇ。良かったじゃない」
笑いながら陽が言うものだから。
「俺は片付けしねぇからな! もう帰る」
蓮が怒ってこう言い出す始末。宥(なだ)めまくって落ち着かせると、来年の参考になるからと、数枚写真を撮ることに。
うぅ~ん。ちょっと良いかも! これは売れるな。実行委員会付けで売り出したい。と蓮を見ると、怒り心頭顔。諦めるしかないか、仕方ない。
メイクを落とし着替えさせると、蓮はようやく平静を取り戻したようだ。いろんなことがあったが、何とかやり遂げ心地良い疲れの中、大まかにいろいろな物は校内に取り込み、後片付けは後日やることに。ひとまず明日のカラオケの打ち上げを約束しての遅い帰宅となった。