なぜ日本の若者たちに元氣がないのか
これらの二つの観点から、「どうしたら若者たちが元氣な生活を送れるのか?」を自問し、問題を抱える青少年一〇〇〇名以上と対峙してきました。当時の私が重要視したのは「家庭訪問」でした。なぜなら、子どもたちは、生育環境や親との関係に最も影響 を受けるからです。約五〇世帯を訪問し、共通項を発見しました。それは、命の根源である「食と食卓(=ジャンクフードと孤食)の乱れ」でした。
戦後、日本人の食文化が欧米化し、輸入食、外食産業の進出により、個人が“好きな物を、好きな時に、好きなだけ食べられる”生活環境が当たり前になりました。
それによって個人の食習慣に栄養状態が左右され、偏食傾向の人々が増えていきました。人間の生きる力の根源である五大栄養素、食物繊維、酵素をバランスよく摂取できていないため、エネルギーが出ないのは当たり前です。
さらに、子どもの教育費を稼ぐために一生懸命働く親の思いとは裏腹に、何か満たされない心を埋めるために、犯罪に手を染める少年少女たち。学校教育だけでは手に負えない負の連鎖が現場では起きていました。それでも希望を失わずに向き合い続け、ある出来事が私を奮い立たせました。