しかし 同じような環境で育ち 同じような人生を歩んできたのに

そうはならなかった人達もいる

彼らや彼女らは 一様に

「結局は好きだから 好きな気持ちは変わらないから

何があっても やめるつもりはない」

「自分のしたことでむく  ファンやお客さんの喜ぶ顔を見ることが一番のやりがいで

全ての苦労は報われる」

「誰もやったことのないことに挑戦したい 自分の限界を超えてみたい」などと答えている

    

この違いは 一体どこから来るのだろう?

「多様性」という名の罠

モデル 「悪くはないけど恋人にしたいとは思わない」と告げられて目下(もっか)四連敗中 三六歳

「多様性の尊重」 それは正しく普遍的で

これからの人類が目指すべき社会の在り方として 今や〝常識〞となっている……

   

彼女は 十代の頃から 好きな人と結婚して温かい家庭を築くことをひたすら夢見ていた

学生の頃も 社会人になってからも 一日一日を忙しくも懸命に生きてきたが

気が付いたら 結婚適齢期をとっくに過ぎた おひとり様になっていた

でも そんな彼女をなじる人は 一昔に比べて随分(ずいぶん)と減った

むしろ理解を示し 励ましてくれる人々も増えた

「結婚して子どもをもつことだけが幸せじゃない 多様な生き方があっていい

シングル・ライフだって自由で素晴らしい」のだと

彼女もそうだとは思う

でも 本当はそういう生き方をしたかったわけじゃない

でも それを表立って認めるのも今更プライドが 許さない

「多様な生き方」という美辞麗句を隠れ蓑(みの)にして

恋愛で誰からも選ばれなかったという引け目や悔しさをごまかしながら

今日も強がって生きている