第一章 現代病の真実
現代病の原因はなにか
冒頭でもお伝えしましたが、本当に医療や教育が正常に機能しているのであれば、健康問題は年々、減少していかなければなりません。しかし実際は、高齢者や働き盛り世代を中心に、毎年のように医療費が増え続けています。
私はその根本原因は、大きく二つあると思います。その一つ目は、『食源病(しょくげんびょう)』です。今から約四十年前、米国でがんが多発し、現代の日本と似た状況に陥っていました。当時のフォード大統領は、「このままいけば米国は戦争では勝つが、がんで滅びてしまう」と危機感をもち、国を挙げて研究チームを編成し、徹底的に原因の究明にあたりました。
そして、現代病(主にがん)の原因を突き止めました。「がんの原因は、動物性たんぱく質の過剰摂取による “食源病 ”である」と公表されました。日本の未来のために健康政策の世界基準となる「マクガバンレポート」を紹介していきたいと思います。(参考:光英科学研究所HP)
マクガバンレポート
一九七七年に発表。一九六〇年代のアメリカ国民一人当たりの医療費は、世界一。平均寿命は世界二六位でした。「このままではアメリカの経済は破綻する」と危機感を抱いたマクガバン上院議員が立ち上がり、アメリカ上院栄養問題特別委員会が世界から有識者を集め、『食事と健康の関連性』を国家プロジェクトとして調査しました。
世界中の国々を地域別、人種別などに細かく分けて食生活と病気、健康状態との相関関係を専門的に分析し、各国の医師、生物学者、栄養学者など、約三千人もの人々がこの調査に加わり、二年の歳月をかけてようやく完成したのが、『マクガバン報告書』です。
この報告書は、五千ページにもおよぶ膨大な内容となり、今でも世界各国が健康政策を考える際のバイブルとして活用されています。残念ながら、日本では未だにこの存在すら知らないリーダー層(医者、政治家、教師、管理栄養士)が多数派を占めています。私たちの未来に示唆を与えてくれる内容を抜粋しましたのでご覧ください。
当時のフォード大統領は、ある時、疑問を持ちました。「アメリカは医学が進歩している国であり、医療に莫大なお金をかけている。にもかかわらず、こんなにガンや心臓病、生活習慣病、糖尿病が増加の一途を辿っているのはなぜだろう? 何かが間違っているのではないか?」
そして、大統領は特別委員会を設置し、あらゆる分野の専門家を集結し、国家的な調査プロジェクトを始動させました。その委員会の委員長がマクガバン上院議員でした。
十九世紀以降のアメリカの病気の変化と食生活の変化を歴史的に追求し、ヨーロッパ、アフリカ、アジア、中近東でも同じ調査を行い、一五〇年前には伝染病で死亡する人はいても、ガンや心臓病、脳卒中などの病気が皆無だったことを発見しました。発展途上国では、今もそうした病気が少ないこともわかりました。そこに共通するのは、やはり「食生活の違い」であるということに辿り着いたのです。