遠い夢の向こうのママ 毒親の虐待と夫のDVを越えて
翌日はとても綺麗な教会で結婚式だったが、私の全身は手のひらサイズの痣だらけだった。ドレスから出ていた腕の痣だけ、結婚式の写真にも写っていた。
結婚式自体はスムーズに進み、無事に終わり、その後の旅行は特にひどい喧嘩はせず満喫できた。
後から聞くと、新婚旅行直前に私が薬を飲んだため、彼は私に怒るのが怖くなっていたようだった。
また自殺未遂されたら困る、という気持ちだったらしい。
私を案じてのことではなく、自分の保身、建前のためのことだった。
なんにせよ、彼の身勝手でくだらない心配だった。
その頃のママはというと、相変わらずだった。
ベランダでのガーデニングにはまっていて、綺麗なお花の植木を沢山買っていた。
ある日ママの家に行くと、ママは「見て見て! この綺麗なお花!」と見せてきた。
「綺麗ね~、買ったの?」と聞くと「ううん、会社の車を止めてる駐車場のフェンスにかかってた植木を持って帰ってきた」と言う。
私は青ざめた。
「それ、誰の植木?」
「駐車場の管理人さんの植木」
「だったらママ、それは盗みだよ? 窃盗だよ? 犯罪だよ? してはいけないことだよ? わかってるの?」
ママは表情ひとつ変えず、きょとんとしていた。