盗みを働いたことをなんとも思ってない様子だった。

若い頃から窃盗などを日常的に繰り返していたからだろう。

私はもう、呆れかえって、かける言葉すら失ってしまった。

本当に突拍子もないことばかりするママにしょっちゅうやきもきする毎日だった。

でもママの周りはママに意見する人はひとりもいなかった。

自分の言うことを聞くイエスマンだけ置いて、お山の大将になってふんぞり返っていた。

そして自分のお気に入りにはあからさまなえこひいきをしていた。

私も気が強いが、ママは私より更に気が強く、相手構わず言いたいことを言いたい放題怒鳴り散らしたり語気強く言うママにみんな一目を置き、怖がっていた。

身内である私たったひとりが、ママを怖がらず、意見できる存在だった。

だがママにとっては意見する私は煩わしく、イエスマンの意見だけを取り入れていたため、ママの奇行はおさまることはなかった。

ママはブルーカラーの仕事が大好きだった。

ヤンキー上がりの学歴もない、若い男の子を束ねるのが大好きだった。

それは、ママが暴力団員だった頃の体質が抜けていなかったのであろう。

常に自分の言うことを100%聞く若い男衆を引き連れて歩きたいのだった。

私から見ると、本当にくだらない悪趣味だった。

   

そしてママは野良猫の世話をしていた。

異様なほど執着してしている、今でも。

周りには気味悪がる人もいたほどだ。

「実の娘の面倒より猫を可愛がって…」と言う人も多くいる。

ママは二重人格のようなところがあり、自分の機嫌がいいとニコニコとてもいい人。

でも一旦機嫌を損ねると人目も構わず怒鳴り散らして相手を言い負かすまでやめない。

野良猫にエサやりをして回っているが、そのために野良猫のフンに困っている人もいる。

その人達との衝突はしょっちゅう起こっていた。

でも必ずママが言い負かして帰ってきていた。