第2章 夫婦問題の解決

(1)100年人生における夫婦の役割分担交代のススメ

▼100年人生となって蓄積した夫婦不満が爆発寸前

長年連れ添った夫婦が、なぜ、離婚するのでしょうか。その原因について、男女差、すなわち性差を踏まえながらここまで考えてきました。

正確には、離婚を望む妻が夫より約2倍多いのですから、主に妻が熟年離婚に至る原因を探ってきたことになります。それは私自身の現在進行形の懸念でもあったからです。

最大の問題は、人生100年時代を迎えて、蓄積され続けた夫婦間の不満が今にも爆発寸前になっていることです。無視や我慢をするには残された夫婦だけの日々が長すぎるのです(図「夫婦問題の総括」参照)。

[図]夫婦問題の総括人生
100年時代となり、不満が蓄積される度合いが増加。夫婦間の主な不満は家事・育児・介護分担の不足、コミュニケーションやスキンシップ・セックスの不足です。社会環境的にみれば社会関係資本が乏しく、孤独であることで社会的な信頼や個人の輝きを失うことになり、これらが重なって熟年離婚に至る可能性があります。

夫婦間の不満で重要なのは、まず夫の家事・育児・介護分担の不足です。それでも大半の妻が、たとえフルタイムの正規雇用であっても「男は仕事、女は家庭」の性役割分業観を容認しています。

もし、感謝や労いの言葉など、夫婦間にコミュニケーションがあればまだまだ夫婦愛が冷めることはなかったのです。残念ながら、そうしたコミュニケーション不足に加えて、夫婦間のスキンシップやセックスのなさが冷えた夫婦愛をさらにおとしめています

そして日本の男女は社会的にみれば社会関係資本が乏しく、特に男性は世界一の孤独です。親しい友人がなく、特にスポーツ・娯楽・趣味の集まり、町内会・自治会やボランティア・NPO・市民活動などへの参加といった対等な人付き合いが貧弱です。

このいわば社会的に孤立した孤独が、夫婦の不満やストレスが解消されずに放置される背景となり、周囲との信頼感・連帯感や個人の満足感・幸福感をも失わせることになります。それらが、蓄積した夫婦間の不満と重なって熟年離婚に至る可能性があるのです。

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次回更新は1月23日(木)、20時の予定です。

 

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