自動車保険のテレビCMなどで、「24時間電話で受付。事故の相手方とも直接お話しします、専任担当者が示談の交渉も行います」という内容の放送がされている。残念ながら、マンションにおける事故やトラブルに、こうした自動車保険のような示談交渉をするようなサービスはない。

このサービスがテレビで流れており、世の中に浸透していることが、「何かあれば、誰かが間に入ってくれるのが当たり前」という誤解を生み、トラブルの解決を他力本願で考える風潮を生んでいるようにも思うが、自動車保険だけが例外なのだ。

専有部分からの漏水事故では、何も悪いことをした覚えがないのに、ある日突然「あなたが加害者です」「修理する責任があります」「損害を賠償してください」などと言われる。驚きがやがて怒りに転じる。

さらに、被害者と加害者は、マンションに住む者同士、エントランスやエレベーターの中で遭遇する可能性もある。顔を合わせると気まずい。

どうしても自分では話をしたくない、誰か他の人に解決してほしいという心理から、漏水の責任を関係ない第三者に転嫁したり、さまざまな理由をつけて、管理会社に解決を要求するケースもある。しかし、上下階のトラブルには、法律上、弁護士以外の者が仲裁をすることはできない。

冷たいようではあるが、どうしても当事者間で話をしたくないときは、弁護士に依頼するより他ないのだ。

トラブルを回避する方法として「予防保全」という考え方もある。マンションのどこかの部屋で、給湯管や給水管から漏水事故が発生したのなら、他の部屋も同じように給水管などが劣化していると考えられる。

次はいつ、どの部屋で起きてもおかしくない。そこで、管理組合にて、共用部分の給水管工事とまだ漏水していない住戸も含めた専有部分の給水管工事とを一体化して実施した事例もある。

また、下階への損害賠償には、マンションで加入している火災保険に特約がある場合や、所有者自身で加入している火災保険から支払いができる場合がある。加入している保険の内容も確認しておこう。

【前回記事を読む】マンション三大トラブルは漏水、騒音、ペット!訴訟に発展するケースも多い。

次回更新は1月20日(月)、8時の予定です。

 

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