僕の大学デビュー天下取り物語
さあ、食欲を満たすと、次は性欲だ。そのまま満里奈に襲いかかる。
「まだ、シャワー浴びてない……」
恥じらう教え子の服を脱がしていく度に、自分でも信じられないくらい興奮していくのが分かる。
しかし女の一人暮らしというのは便利だな。ホテル代もかからないし、満里奈に至っては食費も浮く。
キスをしながら裸にひん剥いた満里奈をベットに押し倒す。そしてーー
「もうその話、やめない?」
満里奈の一言で我に返る。またしても僕は自ら絶望的な妄想をしようとしていた。
「最近ずっとその話てくるよね? ちょっと、私もさすがにきつくなってきて……」
確かに満里奈に嫌気が差しているのも分かっていた。
あの旅行から二、三か月が経ったが僕はずっとこんな感じだった。一度は受け入れるよと言っておきながら、容量がいっぱいになってくると、満里奈に不倫のことを色々と聞いてしまっていたのだ。
彼女の過去に縛られている自分を見せるのも情けないし、聞いても落ち込むことが分かっていたから、聞かないように自分でもセーブしていたつもりだったけど、それでもどうしても聞いてしまっていた。
前に映画を見に行った帰りに、自分的には自然な会話の流れでなんとなくその話になったかのように、キツネ目オヤジとはちゃんと避妊してセックスしていたのかを聞いた。
もちろん満里奈からしたらそんなの自然でもなんでもなくて、なんでそんなこと聞くのかと少し怒った後、「……してたに決まってんじゃん」と答えた。
その「してた」の前のちょっとの間と満里奈の表情に、僕は「ああ、嘘かもな」と思った。
僕をこれ以上傷つけないように嘘をついてるかもしれないなと。
別日に「どれくらいそいつとは会ってたの?」と前にも聞いたことある質問を再びしたとき、「覚えてない、週に二回くらいかな」と答えられたときは、前に聞いた月に2二、三回というのと数が矛盾していたので、またなんか嘘ついてると思った。
一度、満里奈が嘘をついてるかと思うと僕はますます止まらなくなっていた。
「ごめん、もうしないから」
満里奈の目を見ずにそう答えて、食べ終えた食器を流し台に持っていく。
「それ、前も確かに言ってたよ。もう過去の話しないって」
確かに言ったな、一週間前満里奈とセックスした後に、キツネ目オヤジとは会うたびに絶対にセックスしていたか聞いたときだ。
満里奈から「してない!」と怒られて、「もうそんなこと聞かないで!」と言われたので、もうしないと言っていた。
あの「してない!」も本当なんだろうか? セックス以外の目的でもそのオヤジは満里奈に会うだろうか?
「なんでそんなに過去の話してくるの?」
満里奈にそう言わて、僕は洗い物の手を止めた。