じっと目を瞑っておられる目の前の大切なお客様。
その接客のやり方も、時と場合によりけりで、マニュアル化等できやしない。だからこそ、常日頃から洞察力が必須になる。
ウェットカット開始、そして一旦ドライヤーで乾かす。その方の持つ、ありのままの癖を把握する。
コームでとかし、手でとかし、前後ろ斜めと、癖の一番落ち着く場所を定める。
耳上からネープ(頭部の首上あたりの箇所)までをブロッキングし、シザーのみの質感カットとドライカットのミックス。時にはセニングシザーも使う。この時に大切なのは、立つ位置とシェープする左手。そのシェープした部分は、ほんの少しだけテンションを加える。弛ませない事、全集中すれば髪の毛一本一本が綺麗に見える、それが研ぎ澄まされたカットの醍醐味に繋がる。
その時は、微かに流れる音楽の音と、自身の使うシザーの音、そして心の癒し担当のまるちゃんの鳴き声。
まるで、カットのコンクールの舞台のようだった。
99%の顧客はずっとお喋りされる、サロンワーク。わたしはほぼ聞き役。時にはツッコミ、時にはボケたり、互いに笑ったり泣いたり……。
本当に楽しいひと時を過ごされている。
ほんまに有難い、お客様の大きな存在とこのサロンワークの環境、自分自身の聖地。
心癒され、時には究極の選択をしなければならない場所、自身が学び、気づき、向上できる素晴らしい領域。夢が叶い、実現してからも、終わることのない環境作り……。
わたしひとりではできないこと、目の前のお客様の何気ない言葉は、わたしにとってのサプライズメッセージ。その事をサプライズギフトと名付けたい。