第1章  夫婦の問題

5)世界一のセックスレス夫婦

▼夫婦愛はスキンシップと会話から

夫婦の間でここまで広く深くセックスが軽んじられ、セックスレスが蔓延している事実は、とても残念です。

ただ、セックスには極めつきの優れた作用があることはお伝えしなければなりません。性的興奮の絶頂であるオーガズムや射精の瞬間、愛情ホルモンやコミュニケーションホルモンとも呼ばれるオキシトシンがきわめて強く分泌されるからです。

オキシトシンは、イライラ、不安、落ち込みや怒り、または不眠、食欲低下や冷えなどのあらゆる心と身体のストレスを抑え、気持ちを前向きにして、夫婦愛に不可欠の満足と信頼を与えてくれるホルモンです。何より愛情ホルモンでありコミュニケーションホルモンですから、キスやハグ、手をつなぐだけのスキンシップや、さらに楽しい会話でも分泌が高まります。生身の人間と対面して初めて威力を発揮するホルモンだといえます。

特に皮膚感覚に優れた唇や舌、そして指を使ったスキンシップが、オーガズムや射精に匹敵するくらいに強くオキシトシン分泌を高めてくれることです。セックスに愛撫が重要なことは、「前戯」として一般に男性も認識しています。しかし、実際には多くの女性が性器の合体行為と同等かそれ以上に、ただ愛撫されているときに幸福に満ちた気持ちになっています。

中でも女性の乳首には、この満足と信頼にあふれるホルモンの分泌を促す神経が集中しています。感じ方に個人差はありますが、乳首への愛撫や赤ちゃんの授乳行為により強い幸福感を感じる女性が多いのはこのためです。

性的な愛撫は、決してセックスの前座のようなワンランク下の行為ではありません。どんな場面であっても、優しく触れられることで人は自分が必要とされていると感じることができます。だからこそ相互に触れ合うことで、夫婦間の満足と信頼が高まり、絆が深まるのです。