そのまま結婚することが正解かどうか、その時の私にはわからなかったが、結婚をやめるという勇気は私にはなかった。
ハワイは別世界のようで、現実を忘れるほど楽しかったが、到着した日の午後、結婚式の衣装合わせがあった。
一生に一度しか着ないウエディングドレス。
ドキドキワクワクしながら見に行った。
ドレス置き場に行くと、夢のように見渡す限りドレスがあり、どこからどう選べばいいのか全くわからなかったので、店員さんに「どうやって選ぶのですか?」と聞いてみた。
すると「まずは半袖、長袖、マーメード、まずはこの3種類のどの形にするかを決めて下さいね」と3種類のドレスを見せながら説明してくれた。
私は「半袖がいい」と言った。
すると店員さんが半袖のコーナーに案内しようとしたが、彼が「それでいいやろ」と言った。
「は?」
意味がわからなかった。
「それでいいやろ、他は見なくていいやろ」と言う。
店員さんが持ってきた3種類の内のサンプルの半袖のドレスをそのまま着ろと言っているのだ。
「嫌だ、沢山あるから選びたい」と言ったが「なんで選ぶ必要があるんだ」と彼が怒り出したため、喧嘩になる前に私が引いた。
私は一生に一度しか着ないウエディングドレスすら、選ぶことができなかった。
こんな花嫁って他にいるのかなと思うと、たまらなく惨めで仕方がなかった。
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