沖縄編
変革
所長室は四畳半くらいの部屋に机が一つとソファがおいてあるだけだ。山田さんに、会議に使えそうな机と椅子があるか聞いたら、多分、倉庫にあったと思いますということだったので、一緒に探しに行くことになった。
平良君にも声をかけて3人で一緒に倉庫に行った。4人で座って話ができそうな、天板が正方形のベージュ色の机を見つけた。充分綺麗なのでこのまま使えそうだ。簡単なパイプ椅子がその横に積み重ねてあった。
「これを所長室に運びましょう」と伝えて椅子に手をかけたら、「所長は一緒に運んでくださるんですね」と山田さん。「これを全部2人で運ぶより、3人で運べば一度で済むから効率的でしょ」と伝えたら、 2人は「なるほど」と言って顔を見合わせた。
「なんか変ですか?」
「前の所長は威張って命令するだけで自分は何もされませんでした」と平良君。
「そうか、でも僕は歳も近いし、なんでも皆と一緒にするよ」
3人で机と椅子を運んでいると城間さんも出勤してきた。
「どうされたんですか? 朝から」
「所長室に机を運んで、これから戦略会議をします」
単に会議と言わず戦略会議と伝えたのは自分なりの覚悟を表現したつもりだ。
「分かりました。途中でお客さんが来られたら私が応対します」
会議を始めたのは10時を少し回っていた。それでは所長どうぞ、と城間さんに言われて立ち上がって話し始めた。
「営業所について気づいたことや、これから進めるいくつかのプロジェクトについて話をします。本営業所の最近の業績を調べました。売り上げが以前よりも低迷しています。この業績を劇的に改善し、全国的にも注目される営業所にするのが目標です」
「意気込みはよいと思いますが、簡単ではないと思います。何か具体的な方策はお持ちですか?」
城間さんの質問だ。