がん剤の副作用で抜け落ちる髪の毛も、先に剃ってしまえば、一石二鳥! 人生で初めての坊主にチャレンジ。
ボクは、笑顔でできている ~多くの人に支えられて、白血病と闘うことができました~[注目連載ピックアップ]
【第8回】
向井 健一郎
どうして、白血病になっても頑張れるの?
教員生活34年目の2015年7月、突然発症した「急性リンパ性白血病」。不安が募るなか始まった入院生活。辛い抗がん剤治療や骨髄移植を乗り越え、約1年後に職場復帰を果たしたものの、待っていたのは白血病の再発…。二度の移植を乗り越えて、4年半の闘病生活を送った著者。その根底にある考えは「笑顔は笑顔を強くする」というものだった。
Facebookで発信し続けた当時の想いとともに、4年半の闘病生活を綴ったエッセイを連載でお届けします。
教員生活34年目の2015年7月に「急性リンパ性白血病」と診断された。不安が募るなか始まった入院生活。辛い抗がん剤治療や骨髄移植を乗り越え約1年後には無事に職場復帰まで果たしたものの、待っていたのは白血病の再発。そしてICUで生死の境を彷徨うことになる。Facebookで発信し続けた当時の想いとともに、4年半の闘病生活を綴る。※本記事は、向井健一郎氏の書籍『ボクは、笑顔でできている』(幻冬舎ルネッサンス)より、一部抜粋・編集したものです。
第1章 思いもよらない事態
その4 抗がん剤との付き合い方
─本当に抗がん剤は辛い─
白血病の第二段階治療(地固め療法)では避けて通れない「脱毛」の準備について考えてみました。第二段階の治療では、強い抗がん剤を使用するのでいろいろと副作用が出ますが、その一つが「脱毛」です。
よくドラマなどで、白血病の患者さんの髪の毛がバサッと抜けて驚くシーンがありますが、実際にも髪の脱毛は突然にやってくるようです。また、それは強い抗がん剤を使用して2週間から遅くても3週間ぐらいで起こるそうです。しかも、個人差はあるようですが、全部の髪の毛がいっぺんに抜けるのではなく、まだらに抜けるようなので、抜ける髪の処理や抜けた後の見え方に患者さんが苦労しているそうです。
そこで、先手必勝! 私は「どうせ抜けるなら、その前に坊主にしてしまおう」と考えました。脱毛する前に坊主頭にしておけば、抜ける髪の毛も小さくて処理は簡単だし、まだらに抜けてもほとんどわからないし、一石二鳥です。
さっそく床屋さんで生まれて初めての坊主頭にしてもらいました。ただし、このときは病棟から出られない状況だったので、病院内の床屋さんに病室まで出張で来てもらいました。