料理の減り具合が再び加速しだした。「あのさ、ステファニーが説明していたなかでギルバートと出会った話を少ししていたわよね。
その恋バナ詳しくききたいなー」修学旅行気分でいるみたいにマリッサはステファニーに向かって恋愛話を切り出した。やはり、その部分を聞き逃がすわけにはいかないのだろう。
先ほどみたいに別々に会話をしていなかったので八人の目がステファニーに向けられる。
注目されたステファニーは少し間をおいてから「まだまだ時間はあるからあとで話すね」と注目されてたのをまたもや上手く回避した。あとでマリッサと二人きりで恋愛話をするつもりなのだろう。
「それにしても僕のことを変人なんて……。傷ついたな」ライトはまだトラヴィスにいわれたことを根に持っているらしい。
「悪かったって。ライトの気が済むまで何度も謝るよ」このままだとトラヴィスは土下座をしそうな勢いだ。
あんなにあったごちそうがなくなり料理を片付け終わった。一段落がついたところで「一応ここの家はギルバートを守るために建てた家だったはずよね」リリーは俺に確認を取ってから話を続ける。
「テラスの作りかけを見て気づいたんだけど、隠れ家なのにガーデニングしてリフォームしているのはなぜなの。そもそも、隠れるための家だからガーデニングをする必要はないと思うのよ」
これも説明をしなければならないだろう。
「理由を述べさせてもらう前に、ガーデニングして庭を手入れするのは一般的にどのような人だと思う?」と俺はトラヴィスの胸に向かってツンと人差し指を指した。
「それは大金持ちが持て余した時間を潰すためだろ」
俺は求めていた答えとは違った回答をしてきたので、いい回しを換えてもう一度トラヴィスに質問をした。
「自宅の庭を手入れする人といったら、どのような人物を思い浮かべる」
すると「おじいちゃんじゃないかしら」とヘラが横取りをした。
「ヘラのいう通りおじいちゃんだ。つまり、定年退職をした人が新たに趣味を見つけて行きつく先が庭の手入れとよくいわれている。どうやら人間は人生の趣味を一通り全うすると最後は自宅の庭を手入れするのが趣味になるらしい」
「何よその偏見」マリッサは面白おかしく笑う。
ライトは「仕方ないよ、ギルバートとステファニーの実の親は幼いころにいなくなったんだ。どこかで情報を手に入れて信じてしまったんだろう」と話した。
「ステファニーもそうだったのね……」リリーは同情した。
【前回の記事を読む】俺はもう人を殺したりしないと誓った。それはステフィーと出会い、二人で死にかけたあの時からどんなことが起こっても...