③「生まれてきてくれてありがとう」は魔法の言葉
ここで存在承認を更に深掘りします。例えば、挨拶。挨拶はお互いの存在を確認、認め合う行為です。皆さんはこちらが挨拶をして、相手から返事がなかったら、気分を害すのではないでしょうか。それは、返事がないことで、「無視された」、「存在が否定された」と感じてしまうからです。
話を聞いてくれない。これも存在承認が否定されたと感じる瞬間です。忙しいと、つい子供の話を聞くのが疎かになりがちです。存在承認が否定されたと子供は受け取ってしまうので、注意したいですね。
僕達夫婦が存在承認を知ったのは、長男が4歳になった年でした。『ママイキ』というママの心の土台作りを目的としたセミナーです。これは、ひろっしゅコーチこと山㟢洋実さんが、主にママ向けを対象にしたセミナーでした。このセミナーに夫婦一緒で受講し、そこで初めて、"承認"、特に"存在承認"の大切さについて学びました。
それ以来、存在承認を日常生活に取り入れました。何をやったかというと、寝る前に息子に向かって、囁きました。
「生まれてきてくれて、ありがとう!」
これは、言ってみると分かるのですが、最初は照れくさい感じでした。しかし、言い続けると慣れてきます。子供が生まれた時の感動に再び戻れる魔法の言葉です。
1か月くらい経った時でしょうか。4歳の息子に「生まれてきてくれてありがとう」を言うと、
「どういたしまして」
と返答が。流石に、これには大爆笑でした。
また我が家では、"儀式"と名付けた"今日一日の楽しい出来事"を寝る前に聞くようにしていました。
「今日の楽しかったこと、嬉しかったことを教えて?」
と、たずねると、友達と遊んだことや、美味しいものを食べたことなど、沢山のポジティブなメッセージを届けてくれます。
また、存在承認のもう一つの事例としては、僕が幼少の頃に母親から受け取った承認のシャワーを紹介します。それは、「あなたは私の宝物」というメッセージです。このメッセージは、いつも母親が口癖のように届けてくれた温かい言葉。振り返ると、このフレーズこそが存在承認だったのです。
5年前、生前の母親に伝えました。
「お母さんの愛情のバトンは受け取ったよ。そして同じことを子供にも伝えている。お母さんの愛情は孫にまで伝わっているからね」と。
母親は涙を流して喜んでいました。それだけ、承認の言葉は深く刺さります。そして、言葉にして感謝を伝えることの大切さを改めて痛感しました。
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