尚、詳細につきましては、お会いして面談の上詰めたいので、今度は私がそちらに出向きますのでお時間を取って頂けますか?」と言ってきた。
「勿論ですが、ここが刑務所である事はご理解の上ですよね。何なら私がもう一度そちらに出向きますが……」と答えると
「御心配は無用です! 言うなれば私の個人的興味? 社会見学です。一度、刑務所という所を自分の目で見てみたかったのです。そちらに厄介になる訳には善良な市民の一人としていきませんが、仕事となれば別ですから……」と豊田は刑務所に興味津々だった。
「そういうことでしたら、是非一度お越し下さい。お待ち致しております」と言って須崎は電話を切った。
約束の土曜日、須崎は前橋の自衛隊群馬地方協力本部へと上越新幹線で向かった。前橋は上越新幹線の停車駅ではないので、高崎で在来線に乗り継ぐ為、須崎は一二時四〇分東京駅発の上越新幹線に乗った。
およそ五〇分で高崎駅に到着し、在来線に乗り換え前橋駅に向かい、そこからタクシーで自衛隊群馬地方協力本部へと向かった。約束の時間の一五分前には到着する事ができた。
土曜日なので自衛隊群馬地方協力本部は本来休みなのだが、非常事態への対応の為、海自出身の広報官が当直勤務に当たっており、須崎を出迎え里村のもとへと案内した。
「お客様がお見えになられましたので、ご案内致しました」と広報官が里村のデスクまで案内した。里村は
「ああ、ご苦労、下がってよし」と広報官に言った後、
「おお、よく来たな須崎。一年ぶりくらいか?」と須崎に声を掛けながら応接間へと案内した。