父の教え
父は世の中の生きるすべを「ことわざ」で教えてくれた。だが、この歳になると甘いと思うこともあります。
私が考えるには「苦あれば楽あり、楽あれば苦あり」は「苦あれば苦あり、楽などはない」
「聞いて極楽見て地獄」は「ねぇねぇ聞いて、すごく良くねぇ」、見た瞬間「まじか!」
私は「石橋を叩いて渡る」が好きなことわざ。
クラスにいた、いじめっ子の石橋君をバシバシ叩きながら石橋君の上を渡る。
追伸
父は私が嫁ぐ時「嫁ぎ先のご両親を本当の親だと思って頑張れよ」「へそくりはするな」「夫婦で隠し事がないように」「旦那さんの身内の悪口は言わないように」
何一つ守れませんでした。だって、だって旦那様の隠し事が多すぎて……。
母は「へそくりは見つからないようにしっかり貯めなさい」と涙ながらに教えてくれた。母の教えは父の教えと違い、実践的、現実的だった。
やればできる
基本。なにクソ根性で生きている。
明らかに陣痛「大葉買ってこい」店からの電話。
陣痛間隔確認、「まだ大丈夫、なにクソー」と言いながら雪の中買い物に行った。
年末、犬の散歩中滑って転んだ。
年末年始「なにクソー」と頑張った。
だが、あまりの痛さに病院へ。
右手首と右足首が折れていた。看護師さんが固定してくれ、松葉杖を貸してくれた。
追伸
松葉杖、意外と難しい。格闘しながら駐車場へ、そこで気がついた。車できていた事を。
右足首の固定、雪道のツルツル路面。微妙なブレーキテクニック。なにクソー根性全開。
無事帰宅。今は「やればできる」と言うらしい。
死ぬかと思った
昼、いつものようにお店の仕込みをしていた。
息子は友達と雪遊びをしていた。
自動ドアが開き、友達がなにか必死に大声で叫んだ。友達は耳が不自由でうまく話すことができなかった。
私は飛び出し彼が指さす場所に走った。
ビルの間、雪の中に埋もれていた息子を必死に引っ張り出した。息子はまだ小さかったので軽いが、私は新雪に足を取られ動くほど埋まる。
新雪版蟻地獄。長靴も脱げ、仕込み中ゆえ手袋も上着もない。冷たい、もう無理かも頭の中に走馬灯が。
追伸
火事場の馬鹿力、水泳のバタフライの要領で脱出。馬鹿力の原動力、茶わん蒸し、焼き鳥、イカ刺し、など仕込みが間に合わない。
震えながら脱出すると、息子たちは私のことなど眼中になく楽しそうに遊んでいた。
なんかムカついた。
【前回の記事を読む】母は私が嫁いでから「死にたい、殺して」と言うように。急いで帰ると、母はご近所さんと笑って話していた。怒りで体が震えた。
次回更新は11月13日(水)、20時の予定です。