第二章
七
ツアーの4日目はヴァーラーナシーでの泊まりであった。夕食後、中田は腹が少しおかしいことに気が付き、持参した市販の整腸剤を飲んだが腹の調子はむしろ悪くなっていった。日付が変わった午前0時40分頃、便意を催してトイレに立った。勢いよく下った。以後4時20分頃までに、便意で6回トイレに立った。眠れる体調ではなかった。
この日は暗いうちにホテルを出てガンジス河の日の出と沐浴風景を見る予定であったが、中田は添乗員のUに話して部屋に残った。便意が収まらず、トイレに立っても、肛門が痛いばかりで、ほとんど何も出ないのだが、トイレがなければ不安だった。
ツアーの人たちがガンジス河から帰ってきて朝食となったが、中田は朝食を抜いた。次の場所へ向かうためにツアーの人たちはバスに乗り込んだ。中田も乗った。便意が続けばバスでの移動どころではないのだが、中田はそういう心配は全く頭に浮かばなかった。便意は収まっていたのだ。中田は昼食も抜いた。添乗員のUに勧められて水は飲んだ。その日のホテルでの夕食は午後7時30分頃で、中田は夕食の少量を取ってみた。その夜はよく眠れた。
翌日、次の目的地へ向かうバスの中で、同行のMから、抗生物質2錠と整腸剤一包を貰った。Mは中田と同年くらいの女性で、旅に出る時は掛り付けの医者に抗生物質を処方してもらっているという。この日は、中田は、3食を、少量、よく噛んで食べた。