なぜならば、こぶしで顔をケガすると、流血して他人に暴力のことがバレてしまうからだった。でも身体は洋服で隠れるから痣だらけになるまで殴る蹴るの暴力を振るわれた。

私があまりにも抵抗して暴れるので、しまいには私に馬乗りになって殴られたりしていた。顔に傷がつかないからママは彼の暴力には全く気づいてなかった。

結婚する少し前から同棲していたのだが、結婚への迷いは誰にも打ち明けることもできないまま、そのまま結婚話は進んでいった。

その後結婚前1か月同棲し、23歳で結婚式は海外でふたりで挙げようということになった。その新婚旅行に行く4日前の休日、私達は大喧嘩をした。

きっかけなんか、忘れるほどくだらないことだった。それまでで一番ひどく殴られ蹴られ家中髪の毛を持って引きずり回された。そして怒った彼が10分くらい家を出た時だった。私は家にあった薬箱の中の、薬局で買ったアレルギーのお薬を発作的に一瓶全部飲んでしまった。

むしゃくしゃとした気持ち、辛い気持ちの行き場がなく、自分の身体を人知れず傷つけたかったのだ。死のうと思った訳でもない。自殺騒ぎを起こして心配させようと思った訳でもない。ただただ、自分の身体を傷つけたかった。

やり場のない気持ちを自分を傷つけることで解消したかったのだ。薬をひと瓶飲むと、私はとても爽快な気持ちになった。

「私の身体を傷つけたことは、誰も知らない」という喜び。嫌な気持ちがすっきりなくなった。ざまあみろと思った、私は人知れず薬を飲んで、誰にもバレずに気が晴れた。それが、私の自傷行為の始まりだった。