彼は分かりやすく拳を握り、軽くファイティングポーズをとった。

「詳しくは……?」と聞くまでもないだろう。詳細は先の戦闘のことだ。それ以外の人の殆どがサポート……、いや、恐らく俺と院さんが囮(おとり)の役割か。本命はSPHへの潜入だ。

「……あと、活動の核を言うならば、おまえには『いずれやってもらいたい事』がある」

「何ですか?」

「オレ達と同じ力、……その力のことを『エフェクト』って言うんだが、その『エフェクト』を使ってSPHの行業を担ってる男。キッサに勝つことだ」

「キッサ?」

「ベニマル……は、いいや。平松さん映せます?」

「勿論」

院さんの一言で平松さんが傍らに置いてあったパソコンを操作し、それにより教壇の天井から縦横1メートルくらいのスクリーンがゆっくり垂れてきて、そのスクリーンにプロジェクターの映像が映る。そこにはSPH本部のメンバーのプロファイリングが載り、そしてその中の一人の少年の顔写真がピックアップされ大きく映る。

それは、俺と同年代くらいの少年のように見えたが、間違いなく異国の人間だろう、エメラルドグリーンに光る鋭い瞳はいかにも頭がキレそうでカリスマ性を感じられる。

こんな少年がそんな大そうな責務を全うしているなんて逆に違和感しか抱かない。初めにSPHを牛耳っている男と聞いて、てっきり大男か強面の社長のような人物が出てくるかと思ったので、予想の斜め上をいかれて呆気にとられた。

「こいつは、おまえにしか倒せない」

「何で、俺だけなんですか?」

こんな少年なら、これだけの数がいる……えっと、クラシオンだっけか? クラシオンメンバーで攻めたら勢いで落とせそうなのに……。

「コイツもお前と同じ『完全展開』できる人間だからだ」

「『完全展開』?」

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