政党によっては公認料が出るケースもあるが、それで賄えるのは選挙費用の一部だ。特に供託金といって立候補手続きの中で、50万円とか60万円とか選挙の種類によって金額は違うが、事前にキャッシュで法務局に納めなければならない制度があって、これがけっこうきつい。
また、選挙には公職選挙法など日頃の生活であまりなじみのない法律の範囲内で活動しなければならないという制約がある。例えば、演説会など何か集会をして、準備のお手伝いやら後片付けやら、お世話になったからと言って打ち上げなどでビールでもおごったりしたら、一発でアウトになる。いわゆる選挙違反の典型的な例だ。
さらに、選挙とは一人でも多くの有権者に自分の名前を投票用紙に書いてもらう、という全くもって不確実、不透明な作業の積み重ねである。よく砂漠に水をまいているようだ、と喩えられることがある。
一人でも多く自分の名前を書いてもらうには、まず自分の名前をおぼえてもらわなければならない。そのため、呼ばれてもいないのに色んな会合に顔を出してみたり、他人の家や会社に一枚でもポスターを貼ってもらう努力をする。
それでいて選挙は水もので、そんな日頃の地道な積み重ねが時と場合によっては風に吹きとばされてしまう。あるいは、何か新聞沙汰になるなどして評判を落として、選挙に悪影響が出てしまうこともある。
逆に風によってまさかの当選と言うこともごくたまにある。
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