五人兄弟の中の一番下のS君は、上が四人のお姉ちゃんたちの中にあっても、左右二本の足が同時に地を離れている回数の方が多いほどの元気坊やなのです。
彼はこの山中病院でのお誕生だったとのことなのです。緑深い、空気の澄んだこの地で、人生の第一歩を踏み出すことができたのは幸せだったはね。S君。 ありがとうございました、皆さん。夫はとても良いお誕生日を迎えることができました。
(七)明るい挨拶と優しい心遣い
この病院内を歩いていて、ちょっと違和感を覚えたことが二つあります。
一つは、挨拶です。今日は視察目的ですので、廊下をただ呑気に、ぶらぶら歩いておりますと、対面するみなさんどなたもが、軽い会釈をなさるのです。
はじめは私宛てではないと思いすましておりましたが、どうやら違うのです。まだ一度もお会いしたことのない方々が、この私に対してご挨拶をしてくださっているということがしばらくして判ってきました。
看護師さん、事務員さんはもとより、医師のみなさんまでもが、きちんと私の眼を見て、ごく自然にペコリと、とてもやさしいご挨拶をしてくださるのです。
今までよその病院等で、自分がお世話になっている関係者以外の医師や看護師さんなどに、このようなていねいにご挨拶をされるなどということがありませんでしたので、戸惑ってしまい、気がつく間では大変にご無礼してしまいました。
人と人との交わりがとても自然に、美しくなされているのだということがよく判りました。清々しい感じがします。
【前回の記事を読む】吸痰が終わったかと思うと、目を剥いて看護師を睨んでいる夫。あまり動かなくなった身体で、精一杯の抗議する理由を知った私は…
次回更新は10月15日(火)、11時の予定です。