日本ALS協会広島県支部の会議に行きますと、先輩の患者のみなさん方がヘルパーさんとこの文字盤によって実にスピーディーに会話をしておられるのをよく目にしました。

(いつかは夫もこういうときが来る)と心の中では思ってはおりましたが、身びいきの悲しさ、他人事だと思っておりました。それが今、現実として目の前に必要性を突き付けられました。時は来たれり。この言語療法士の先生のご指導は適切なものとして、しっかり受け留めなくてはならないと思いました。

(六)団子姫たちからの素晴らしいお誕生祝いプレゼント

五月二十日は夫の七十八回目の誕生日です。今年はあいにく入院中なので何もお祝事が出来ずにさびしいと思いましたら、素晴らしいプレゼントが届いたのです。

いつもお世話になっている通所介護療養所『灯』の双子の泥団子姫と紅(白?)一点のS君が、雨の中をお母さんと一緒にお見舞いに来てくださったのです。

この泥団子姫様たちは、夫が通所介護『灯』に出かけた折、無聊を託つ夫に、病室の外で一生懸命泥団子を作って、病室の外から見せてくれるというやさしいお二人なのです。

子供さんなので病室にこそ入れませんでしたが、かわいい三人が顔を見せてくれたのです。病室の入り口で、三人が代わる代わる病室を覗き込むかわいい姿に、夫の顔は瞬く間にご機嫌となりました。

そしてそのプレゼントがまた素敵なのです。双子ちゃんは、お姉ちゃんたちとジャイアンツの新聞記事をスクラップして、大切に保存しているのだそうです。

その宝物の中からジャイ狂の夫のために、数枚の記事を抽出して、それをアレンジしてボードを作ってくださったのです。工夫を凝らして、ジャイアンツのそれぞれの選手のとても良いポーズの写真をとらえていました。いきおい夫の顔はほころびっぱなしです。