四 午後……十二時二十五分 警察到着
「今日はクリスマスイヴです、ドリームランドは朝から入場制限がかかるほど大量の客が押し寄せてきているわけで、パーク内は現在混雑を極めています。おそらく来場者の総数は二万人以上になるかと……。これじゃ今夜は帰れそうにないですね」
「だから何だ、さっきのは言葉の綾だ、黙ってやれ」
貝崎が金森に指示を出す。
「その観覧車ジャックだのとタレ込んだ人間も含めた『ドリームアイ』関連の全リストを洗うんだ。観覧車のシステムに精通した専門的技術を有する人間、それからドリームランドに勤務するアルバイト、正社員、その他、パーク外をうろつく不審人物や、不自然な通報などとにかく情報を掻き集めろ」
「はい」
「その数万人の中に犯人がいるつもりでやれ。クリスマス当日までに帰りたいなら老若男女問わず、徹底的に精査しろ」
「わかりました」
「で、その滝口美香とやらは今どこにいる? 観覧車ジャックと証言した女性だ」
「あ、それは、聴取がある旨は伝えていますので、従業員用の食堂に待機させてます。貝崎さんが直接、お話を聞かれますか?」
「ああ」
「それではご案内します」
金森は貝崎に指示された調査を他の警察官に回す段取りをし、その後二人でパーク内の従業員食堂へと足を向けた。