眠りにつくまで
ひとりぼっちの夕方
部屋の真ん中で眠たいフリに騙される
眠るまでの長い道のり
うとうともせずその空間を埋めていたのは
私だけが知っているいつかの未来
ひとりではなくなった部屋の真ん中で
眠りにつく寸前
思い出した可愛い友人のこと
長い轍を一瞬にして
やかに塗り潰していく現実
友人は楽しそうに笑っていた
ひとりぼっちの暗闇
眠りたい私は
傷つけられた自尊心に気づかぬよう
今度は器用に想像する私の恋人
彼らと同じになれないのなら
私の恋人は私
尊敬している人は誰ですか
眠りにつく寸前
思い浮かべる将来の私
何もかも持っているあなたは
私の永遠の憧れです
現実に対抗する
貪欲な夢を見る
隕石でも落ちてきそうな午前4時
静けさに反響する心臓の音
まだ眠っている朝より先に起き
愛してとほころぶ花に水をやるのは
生かされた花に愛してとセリフを吐かせる私
私が水をやると花は笑うから
本当は笑っていないのに
この水は涙なのに
と花の心の声を呟いたのは私の心
私をおかしい人と嘲笑う私の心
人の夢を笑うそんな彼らを悪者にし
隕石を落とす正義のヒーローは
人の幸せなど考えてはいなかった
みんなの悪だと思い込み
今日も部屋の真ん中で
誰も救えず恋人だけを守っていた
午前1時の二重に輝く世界を手放し
私が向かうのは今夜も夢の中
また一歩あなたに近づき
私は優しく抱擁される
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