Chapter2. 人生が変わってしまった事故

皮膚の移植手術

某大学病院では皮膚の培養ができるようで、太ももや鼠径部から皮膚を薄く取って培養させると皮膚が増えるらしく、何度か培養した皮膚を使って移植手術が行われていたそうです。

手術後は培養の為に皮膚を取った所も包帯ぐるぐる巻きにされるので、ヒリヒリしたり、時間が経つにつれて猛烈な痒みに襲われたりもして、ベッドの柵で擦っていた事もありました。

そして、包帯を取った後にガーゼが傷口にくっついてしまうと剥がす時にめちゃくちゃ痛くなるので、傷口に貼りつかない特殊なガーゼがあてがわれていました。

精神的にも不安定になっていた時に、心のケアセンターの先生が何度かお話を聞いてくれたことがありましたが、毎回ずっと泣いて辛くなる一方だったのでやめてしまいました。

自分の顔なのに凄く怖かった

ある日、今の自分の姿はどうなっているんだろう?と思ったので、「鏡で顔が見たい」と言ってみました。すると、心のケアの先生が手鏡を持ってきてくれて見せてくれましたが、鏡に映った自分を一瞬見ただけで酷く衝撃を受けました。

顔が真っ赤に爛れ、髪の毛も眉毛もなくなっていて、正直、自分の顔なのに凄く怖かったのは忘れられません。事故前の面影が全くなくてショックでしたが、顔が変わってしまったことよりも髪の毛と眉毛がなくなっていたことの方がショックが大きかったです。

改めて眉毛って大事だなと気付き、眉毛がないだけでこんなにも人相悪く見えるんだなとも思いました……。

しばらくして皮膚移植をしていない顔に眉毛がほんの数本生えてきたのを見て、肌が再生し始めている証拠を感じることができました。

そして、後になって、鏡なんか見せてもらうんじゃなかったと後悔していました……。

夫は私に気を使って、窓ガラスの反射や鏡で今の姿が映らないようにしてくれていました。絶対にショックを受けるだろうから、と看護師さんたちにも「今の姿を見せないでほしい」と言ってくれていたようでした。

私がお願いして鏡を見せてもらったのですが、そうとは知らずに、夫は心のケアの先生が勝手に見せたと思い込んでしまったらしく、少し気まずい雰囲気になってしまいました。