診断書に書かれた「パニック障害」と「PTSD」の文字

人工呼吸器が取れたぐらいから感染症予防の為に歯磨きをしてもらっていたのですが、歯磨き粉が傷に凄く滲み、看護師さんによって力加減も違うので痛くて、歯磨きをこんなにも苦痛に感じたのはこの時が初めてでした。

意識がない間も意識が戻ってからも、脳が覚えているのか眠るたびに火の夢を何回か見たり、夢か現実か分からなくなったりして凄く怖くなり、時々暴れていたこともあったみたいです。

最初の頃の診断書にパニック障害とPTSD(心的外傷後ストレス障害)と書かれているのを見てしまった時、自分がそんなのになってるなんてと思ったらショックでした。

病名が付いちゃうぐらい精神的にもやられていて、体温管理もできなくなっていました。

急にもの凄く暑くなったり寒くなったりするのを繰り返していて、ベッドの柵を蹴って暴れていたこともありました。暑くなったり寒くなったりするのもいつも急で、その都度、看護師さんが温度調整をしてくれていたと聞いています。

ある時、薬のせいか、ベッドの近くに置いてある大きな機械を暖房器具だと思い込んでしまいました。

急に暑くなってきたので暖房を切りたかったのですが、周りに誰もいませんでした。ナースコールをすれば良かったのですが、自分で歩けるもんだと思っていたのでベッドから降りたところ落ちてしまい、足の点滴の針が折れ、緊急で手術室へ運ばれることになってしまったのです。

手術時に麻酔がなかなか効かなくて、幻覚なのか、先生たちの喋っている声が聞こえてきたり、歌が爆音で流れていたりと不思議な感覚でした。

鼻に綿棒を何本か挿して、それが麻酔なのか何なのかは分からないままですが、麻酔がかかるまでが毎回あまりにも苦しく、嘔吐しかけたと思ったらそのまま麻酔にかかっている状態でした。麻酔がかかるまでの出来事を記憶しすぎていて、麻酔恐怖症になってしまっていました。

時に、火の夢を見ることがありました。家を建てる記憶があったからか、新しい家に引っ越したと思ったら家が火事になってしまい、家族は避難できたのに自分だけが閉じ込められて逃げ出せなくなってしまうという夢でした。

夢の中でも自分だけが火に巻き込まれ、怖くなって毎回目が覚めるというのを繰り返し、もしかしてこれがトラウマってやつなのか、とその時初めて気付いたのです。