名古屋市が子ども会の年少リーダー講習のためのキャンプを実施していて、私たちはそのキャンプカウンセラーでした。市の児童福祉センターに併設された中央児童館に、サークルの拠点がありました。夏のキャンプの他に、中央児童館の子どもクラブの運営もしていました。

サークルのメンバーは私たちの大学の他に、もう一つの福祉系の大学と県立保育短大の3校から集まっていました。それぞれの大学で新入生の入学オリエンテーションが一段落ついた頃に、私たちのサークル活動が本格的に始まります。

その最初のイベントが新入生歓迎キャンプです。夏に子どもたちと過ごす名古屋市の子ども会キャンプ場が、岐阜県東濃地方の串原村にありました。平成の合併で現在は恵那市になっています。

新入生歓迎キャンプには、バスを手配し総勢40人ほどで現地に向かいました。

夏のキャンプ本番では各区の子どもたちはバスでキャンプインしますが、私たちは各大学のカリキュラムによって参加できるスケジュールが違うので、数人が集まって自動車に相乗りし、あるいは鉄道を利用して現地に向かいました。

名古屋駅から国鉄中央本線(現在はJR中央本線)で恵那駅まで、そこで国鉄明知(あけち)線(現在は明知鉄道)に乗り換えて終点の明知駅(現在は明智駅)まで高原を揺られながら辿り着きます。途中には日本三大山城の一つであり女城主の逸話の残る岩村城や、のちに国の重要伝統的建造物群保存地区に指定された城下町のある岩村があります。

明智町は、あの戦国武将明智光秀の生誕の地といわれるところです。また大正時代を懐かしみ楽しむことができる日本大正村もあります。

明知駅に着くとバスに乗り換えて、串原村の大平というバス停で下車し、キャンプ場までの里道を歩きます。こんにゃく畑や点在する民家、串原小中学校の校舎を眺めながら30分ほどのハイキングでした。運が良ければ、キャンプ場から仲間が迎えに来ることもありました。

キャンプ場は、村のはずれの小高い山の稜線にありました。もう何十年も前に閉鎖されたと聞きましたが、今も懐かしい思い出に変わりはありません。

新入生歓迎キャンプでは、上級生がキャンプの楽しさを新入生に体験してもらうために、あれこれと趣向を凝らします。強引に参加を誘われた新入生もいるので、上級生にとってはサークルのその後の円滑な運営にとって一大イベントです。