俳句・短歌 俳句 コンテスト大賞作品 2024.09.12 句集『バーの二階で』より三句 バーの二階で 【第9回】 田中 龍太 幻冬舎グループ主催 『短歌・俳句コンテスト』大賞受賞作品 日本の四季を彩った、“今”を表現する一冊 この記事の連載一覧 最初 前回の記事へ 次回の記事へ 最新 コロナ禍以降、読書を楽しむ機会が増えた人も多いのではないでしょうか? 本書は、その間に編まれた句集です。※本記事は、田中龍太氏の書籍『バーの二階で』(幻冬舎ルネッサンス)より、一部抜粋・編集したものです。 夏の貌 風薫る ロートレックと なる街へ 三人の マギの名忘れ 麦の秋 母の日や 紅茶に浸す マドレーヌ 【前回の記事を読む】句集『バーの二階で』より三句 【イチオシ記事】治療で言葉がうまく出てこない夫。彼が今どう思っているのかを知りたくて… 【注目記事】カプセルホテルで産まれた命。泣き声を止めようと、その喉に…。
小説 『約束のアンブレラ』 【第3回】 由野 寿和 なぜこの場所にいたのか…ずぶ濡れだった少女の靴についた泥の一部は乾きかけていた 「遺体は三十代半ばの女性。薬指には婚約指輪だ。三ヶ月前の九月三十日に失踪した久原真波(くはらまなみ)に酷似している」「にしても失踪届が親族から出されたのは三ヶ月も前です。遺体の腐敗は進んでいるのではありませんか?」「理由は三つある。あの傾斜は地面から二メートル近い場所にあった。地中深くに埋めることで微生物などの影響を軽減し腐敗が遅れた。そして低温環境だ。冬という季節に加えて、この藤山は高山地帯と…
小説 『しあわせについて』 【第3回】 杉野 六左衛門 軍需工場へ勤労動員に出ている二年生に代わって、特別に三年生が一年生を指導をするという。 朋たちを見つけた部長の生徒がステージを降りてきた。 「こんにちは岩代さん、きょうは部活の見学?」「はい」部長は目で朋を示しながら、「この娘(こ)は?」「こんど市女から進学してきた栗山朋さんです」「それで見学に連れてきたの?」「はい」「栗山さん、合唱部は気に入った?」「はい、素晴らしかったです。感激しました」「じゃあ入部してくれるわね」「でも、わたしには難しそうです」「大丈夫よ、みんなそう思って…