昔、東京で日赤の看護師をしていた叔母が、看護をする人の心得として「どんなに自分が小さかろうが、細かろうが、お相撲さんを抱き抱えられなくては看護師として失格」と教育を受けたと言っていたことをふと思い出しました。
「わあ、出たあ」
「わあ、出たあ」
「本当だ。いいのが出た」
介護室でヘルパーさんたちの大騒ぎの声。何事だろうと駆けつけてみますと、室内便器に座った夫の、にこにこしている顔が目に飛び込んできました。このところついぞ見ること久しい夫の晴れ晴れとした笑顔です。
介護室での夫のトイレ風景です。ヘルパーさんたちが、便の出たことを天下の一大事とばかりに喜んでくださっているのです。この二日間便通がなくて、もし今日出なかったら浣腸をするということになっていたのです。
夫の浣腸嫌いをヘルパーさんたちはよく知っているので、やっとの御出現がこの喜びの声となったという事なのです。
本来なら面倒で嫌がられるものを、こうして出た、出たと自分のことの様に喜んで大騒ぎしてくださるヘルパーさんたち。夫は本当に幸せ者です。
【前回の記事を読む】【闘病記コンテスト大賞】人工呼吸器使用者である夫は施設の受け入れの対象外...?! 怒るどころか呆れてしまった…。
次回更新は8月27日(火)、11時の予定です。