「これからは、新しいママ友を作らなくちゃ」

気持ちを切り替え、前向きになってくれているのが分かる。娘が入学した中学校は、中高一貫校のため、この学校を卒業するのは六年後だ。私が手を組んで握り締めていると、

「何、お祈りしてるの?」と聞いてきた。

私は、「ママにいっぱい仲の良いお友達ができるようにだよ」と言うと、

「嘘つき、直ぐ顔に出るんだから……」

「私が、卒業式にも出られますようにでしょ?」

千恵は分かっていた。私は、千恵が六年後の卒業式にも出席できますようにとお祈りしていた。

入学式が終わった数日後、TVを見ていたら、有名な三名の元グループの一人が、乳がんで亡くなったと突然テロップが流れた。

私がチャンネルを変えようとした瞬間、千恵が

「私もああなるのかな?」

と呟いた。千恵は、手術が終わっても完全に良くなっていないことを分かっていたのだろうか? 

TVのテロップで流すような重大ニュースではないのに、と思いながら、何も言葉をかけてあげることができなかった。

中学合格のお祝いで、娘に何か欲しい物を聞くと、

「ずっと、TVゲームやりたかったんだ」

勉強以外にもやりたかったことはあったと思うが、我慢をして、ずっと塾に通っていた娘。その週末から、娘はTVゲームに夢中になってしまった。