三
次の日、星炉さんは午後からずっと外出するというので、わたしは少しの暇をもらい、家から歩いて十五分の所にある小さな公園で、元同僚の鈴花と会った。
彼女から会いたいという連絡をもらっていたからだが、わたしの方でも彼女に会って、聞きたいことがあった。
鈴花はすっかり元気になっていて、わたしは一緒によろこんだ。わたしたちはブランコのそばのベンチに座って、近況を報告し合った。
鈴花は来月結婚するということだった。しかし、どこか不安そうだった。
「夫になる人はいい人だと思うんだけど、子供が三人もいるのよ。十二歳と十一歳と七歳。もう、いろいろなことがわかる年齢でしょう。とくに、いちばん上の子は気難しそうで……」
おそらく、鈴花なら三人の継子を抱えても立派にやっていけると、見込まれての縁談だろう。しかしわたしにはまったく経験のないことなので、どう励ましていいかとまどっていると、鈴花はきっぱり話題を変えた。
「それより、落雷事故のことで、映画監督や新聞記者が訪ねてこなかった?」
「両方来たわよ」
「やっぱり……」
わたしは眉をひそめて聞いた。
「その映画監督って、梁葦麻菜美って人でしょう。鈴花の所にも来たの?」