次の日、星炉さんは午後からずっと外出するというので、わたしは少しの暇をもらい、家から歩いて十五分の所にある小さな公園で、元同僚の鈴花と会った。

彼女から会いたいという連絡をもらっていたからだが、わたしの方でも彼女に会って、聞きたいことがあった。

鈴花はすっかり元気になっていて、わたしは一緒によろこんだ。わたしたちはブランコのそばのベンチに座って、近況を報告し合った。

鈴花は来月結婚するということだった。しかし、どこか不安そうだった。

「夫になる人はいい人だと思うんだけど、子供が三人もいるのよ。十二歳と十一歳と七歳。もう、いろいろなことがわかる年齢でしょう。とくに、いちばん上の子は気難しそうで……」

おそらく、鈴花なら三人の継子を抱えても立派にやっていけると、見込まれての縁談だろう。しかしわたしにはまったく経験のないことなので、どう励ましていいかとまどっていると、鈴花はきっぱり話題を変えた。

「それより、落雷事故のことで、映画監督や新聞記者が訪ねてこなかった?」

「両方来たわよ」

「やっぱり……」

わたしは眉をひそめて聞いた。

「その映画監督って、梁葦麻菜美って人でしょう。鈴花の所にも来たの?」