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そしてまた、明日が来る。ほとんど休日もなくバイトをしているぼくにとって、明日というのは、また配達する一日のことでしかない。そして今日もあった。

轟若芽、つまり瞳子さん宛の荷物が。A4サイズ高さ二十センチ、持ち頃のダンボール箱が。お歳暮シーズンだから贈り物が多くてもおかしくはないと思いつつ、送り主を見ると、梅図赤子とある。昨日と同じ女からだ。どことなく箱そのものも、昨日と変わらない気がした。

まあそんなことを詮索してもしょうがない。それより今日もあのオアシスに行けると思うと、なんだかほっとしてうれしい。昨日と同様彼女のアパートを午前中最後に回ることにして、彼女宛の配達物を荷室ではなく助手席に放り込む。

ほどなくいろいろな下準備を手際よく終わらせると、配達に出発進行だ。運転席に乗り込み、助手席のシートに置かれた瞳子さん宛の荷物を見る。やはり、昨日のものと似ている気がする。

この日も何十という配達物を配り、心がひどく渇いた頃、瞳子さんのアパートに辿り着いた。昨日と同じように部屋に案内され、茶を飲んだ。コタツに入ってたらたらと、だよねー、とか、つーかアレだよなー、とか世間話しているうちに心は潤いを取り戻し、午後の本業への活力が養われていくのだった。

かつての出来事が下敷きにあったとはいえ、それはすでにリセットされていて、ぼくたちの関係は単なる知り合いとして始まっている。それでよかったし、楽しかった。

彼女といると、かつて病室の中で行われた行為への照れや熱情が、すうーと消えてしまって、まるで何ごともなかったように自然に振る舞えるのだ。

あの時は体までの関係があんなに早かったのに、今回はどうしたのだろうという感じだが、もともとぼくは奥手だし、昼間だし仕事中だし酒もないともなれば、それはあの時のように酒の勢いで何ごとかをする意欲や雰囲気にはなりようがない。

お互いちょっとは大人になったところもあるのだろう。落ち着きを互いの顔に見つけて、なお落ち着いてしまった感じだ。

ただ、女の匂いがこもった部屋にいて、やっぱいいよなァ、という刺激を受けないわけにはいかない。