こないだ、隣町のスーパー温泉の割引優待券がポストに入っていたので、母を誘って、そのまま家に泊めた。
「何をしてるのが楽しみ?」
今回はこれを何度も聞いてくる。
「呑んでることかな。」
「お酒やめたことかな。」
毎回答えを変えてみた。
「何をしてるのが楽しみ?」
「なんだろうね?お母さんは?」
「私は……ボーッとしてる時かな?」
「ふーん。いいじゃん?」
「仕事行って、帰ってきて……」
「往復は、虚しくなるよね?」
「そんなもんだから、べつに思わないけど……」
そうか。つまらないのかな。
何かしたい、けど気力がない。みたいな。
「ちゃんとやってるみたいで、安心した。」
「おかげさまです。」
たまには安心させてあげられるようにならないと、ね。
「ちゃんと暮らしてるなら、安心した。」
「おかげさまです。」
「何をしてるのが楽しみ?」
「もういいわ! 寝ましょ!」
ご飯食べた? 寝る? 聞くよ。大好き。どうしたの? 大丈夫。長生きしてね。いつもありがとう、お母さん。
「子供が幸せでいてくれるのが、親である私の幸せ。」
あと、どのくらい一緒に過ごせるかは、わからないけど、これからも母と私の旅は続いていく。
「私」という最高傑作を生み出してくれたお母さん、ありがとうございます。
【前回の記事を読む】母がどんどんボケ老人に。悔しくて、悲しい。会話を忘れられてしまうことが
本連載は今回で最終回です。