1日に2リットル以上の乳(ちち)が採(と)れるので、毎食後、家族全員がご飯茶碗 (ちゃわん)1杯のヤギ乳(にゅう)を飲んでいました。

ヤギ乳(にゅう)は独特 (どくとく)の臭(にお)いがあって、初めは好きになれませんでした。だんだんと慣(な)れてきて美味しくなってきました。

おじいさんは、「牛乳を飲むとお腹(なか)の具合が悪くなるので困(こま)っていた。ところが、ヤギ乳(にゅう)はたくさん飲んでも何ともないよ」と言って喜(よろこ)んでいました。

「どうしてヤギ乳(にゅう)は何ともないの?」と尋(たず)ねると、「それはね、ヤギ乳(にゅう)は成分の乳糖(にゅうとう)の量が牛乳と比(くら)べて少ないためなんだ。ヨーロッパ人の中には乳糖(にゅうとう)がダメなので牛乳は飲めない民族がいて、ヨーグルトにして食べているのだよ」と説明してくれました。

おじいさんはチーズが大好きで、チーズの塊(かたまり)を買ってきて、ナイフで切ってひとかけずつ食べていました。

「ヤギ乳(にゅう)でもチーズができるそうだ」とおばあさんに言うと、「知っていますよ。もうこれ以上仕事を増(ふ)やさないで下さい」と言って反対しました。

ヤギの大ケガ

ある日、普段(ふだん)は別の場所につながれるヤギが、牛の隣(となり)につながれたことがありました。ヤギが周りをうろうろするので、いつもは庭を占領 (せんりょう) するようにゆったりしている黒牛のハナが癇癪 (かんしゃく) を起こしたようです。