荒野の中で、また開拓の歴史の中で、社会的な秩序や組織もないところで、「協力し合うかどうか」が生死を分けた。隣り合う農家は力を合わせて土地を開拓し、家屋と納屋を建て、作物を収穫した。「ウェアリング家」も、そんな伝統を受け継いできたのだろうか。
メリアンは、よく、
「4Hは、支援を提供する側にも、支援を受ける側にも『喜び』をもたらす。」
と言っていた。ある週末、
「家族で教会へ行く。」
と言って、家からはるばる二時間のところにある教会へ行った。
「この教会は、私たちが古くなった資材を換えて、改築したものなのよ。」
と誇らしげに笑顔で語っていた。
「アメリカはすごいなぁ。」
と思った。アメリカという国がすごいのではなく、
「そこに生きる人がすごい。」
と感じた。
「そうした人たちが、この国をつくっているのだなぁ。」
と感じた。
かつて武田信玄は、こんな名言を残したことを思い出した。
「人は城、人は石垣、人は堀。」
人は、堀や石垣や城と同じくらい、戦(いくさ)の勝敗を決するのに大切なものだ。
「日本にもボランティアの精神がますます拡がればいいな。」
と思った。そして、
「その一人になれれば。」
と思った。