はじめに

注目を集める「感染小説」

日本経済新聞が「新型コロナウイルス感染を受け、新潮社文庫版の『ペスト』(カミュ)の発行部数が100万部を超えた」と報じた(2020年4月9日)。

また、インターネットには、次のようなブログが次々と発信されるようになってきた。【パンデミック(ウイルス感染)小説《おすすめ作品ランキング10作》】(2020・4)

『ペスト』(カミュ/1969年) 『首都感染』(高嶋哲夫/2020年)『復活の日』(小松左京/1964年) 『夏の災厄』(篠田節子/1995年)

『黒い春』(山田宗樹/2000年)  『天使の囀り』(貴志祐介/1998年)『生存者ゼロ』(安生 正/2013年)『月の落とし子』(穂波 了/2019年)

『ホット・ゾーン』(リチャード・プレストン/2014年)

『天冥の標Ⅱ 救世群』(小川一水/2010年)

【疫病文学およびコロナ禍おススメ短編2選】

『マスク』 菊池 寛 『流行感冒』 志賀直哉

「感染小説」の魅力と効用

(1)感染症パンデミックを生き抜く示唆を与えてくれる

(2)悪性ウイルスや悪性病原体の脅威を伝えてくれる

(3) 政府や地方公共団体の感染対策のまずさや不備を知り、適切な対策を求めるきっかけになる

(4) 感染症パンデミックの中で発生する人間の心理的弱さを知る

(5) 感染症と闘う医療従事者に対する感謝や尊敬を醸成する

(6) 感染症と闘う中で生まれる人間相互の助け合いの素晴らしさを知る

(7)感染症に対する危機意識、感染拡大防止の意識を高める

(8) 恐るべきウイルスや病原体との手に汗を握る戦いの描写や推理の面白さなどエンターテイメント性豊かな作品に触れることができる

以上のように感染症を題材とした小説の魅力と効用は尽きない。