失敗から商機が生まれた

失敗の原因は液晶チップと電池の値段

すでに述べたように、1998年春から2001年9月までの間初めてのHMD製品の商売は大失敗でしたが、主な理由は液晶チップと電池が高いからでした。

実はお客様がこの製品で映画を楽しむために電源として単3電池を4本使っています。試供品として同梱しているアルカリ乾電池は消耗が早くて、4時間ぐらいで終わってしまいます。

お客様が旅行先で映画を楽しむには、新しいアルカリ乾電池を数十本持っていなければなりません。これはかなりの負担です。充電式ニッケル水素電池の単3形も使えるのですが、当時日本のニッケル水素電池メーカーはみんな大手電機メーカーのP社やS社やT社でした。

われわれがその大きい会社と接触する窓口は全くありませんでした。私は諦めずに電話帳で調べて本社や支社や代理店に電話もしました。すべて断られました。

海外への販売はダメだと言われて値段も教えてくれませんでした。たまたまT社の金沢支店に電話したとき、担当者が優しくて売らないと言いながら、少し長く話してくれました。

値段を聞いてびっくりしました。ニッケル水素電池は400円/本だと言われました。日本では単3アルカリ乾電池の単価は約20円で、中国では単3アルカリ乾電池は 10円でした。中国にはニッケル水素電池を作っているメーカーはまだなかった時代でした。