小説 『魔手 隠密捜査官6』 【第7回】 冬野 秀俊 製薬会社の研究員を乗せた飛行機が、房総半島沖で爆破された。その乗客には両親も——私は、13歳でたった一人取り残された。 【前回の記事を読む】ホテル内に協力者でもいない限り、犯行は不可能…なぜ、私が狙われたのか? 調べてみると、とある部屋の宿泊者情報と……大利家戸清一は、十三歳の時生活が一変した経験を持つ。商社勤務の父角違正造(すみちがいしょうぞう)と製薬会社研究室勤務の母はるが乗った飛行機が、房総半島沖で爆破されたからだった。このとき、叔母なつ子と一緒に迎えに行った妹のふみが飛行場の大混乱に巻き込まれて、ふみは行…
小説 『who am I』 【第16回】 千戸 嶺 家に帰っても家族団らんなどなかった…15歳の私は菓子パンで飢えを凌ぎ、母の「教育」に背いて、証拠を消しながら…… 【前回の記事を読む】高校時代、私のせいで彼女は靴が履けなくなった…あれから十数年、鏡越しに再会した彼女から「謝罪は結構です」。何の脈絡もなく、唐突に彼女が口を開ける。「あなた、まだ戦ってるんですね」私は鏡の中の彼女の顔を見た。真剣な顔だった。揶揄でも皮肉でもなかった。ただ、観察した結果を報告している顔だった。「戦っている」と私は繰り返した。意味が分からなかった。何と戦っているというのか。私は今、…